「足元の冷えを解消したい」、「床暖房を設置するだけで部屋の温かさが変わると聞いた」など、プラス面の効果を期待して床暖房の導入を検討している方も多いかと思います。
しかしその反面、床暖房の導入を検討するにあたって、次のような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
- 何かデメリットはないのか
- ランニングコストは高いのか
- メリットだけでなくデメリットもしっかりと把握したい
多くのお客様が心配している通り、床暖房はメリットだけではなくデメリット部分も存在します。その2つをしっかりと把握した上で床暖房リフォームを行わないと、後々「設置して失敗した!」と後悔されるかもしれません。
そこで、床暖房にはどのようなメリットとデメリットがあるのかを包み隠さずご紹介していきたいと思います。
床暖房リフォームのメリット
まずは床暖房を導入すると、どのようなメリットが期待できるかをご紹介したいと思います。おもなメリットは以下の通りです。
- 足元が温まる
- 室内の空気が汚染される心配がない
- 危険が少ない
- 結露しにくい
- 掃除が楽になる
- 空間を効率的に利用できる
これらメリットについて細かく解説します。
足元が温まる
床暖房の大きな魅力といえば、足元が温かいことでしょう。
自宅で過ごしている際に、エアコンだけだと足元の寒さが気になるという経験をしたことがある人も多いかと思います。これは、エアコンから発せられる熱風がすぐに天井に上昇してしまうからです。空気は温められると上昇するため、足元が冷たくなりがちです。
しかし、床暖房は直に足元に熱を届けるので冬に裸足でフローリングを歩いても、ずっと温かいままです。
また熱移動が最も激しく行われる窓付近では、空気が冷やされ滝のように床面へと流れていく「コールドドラフト」という現象が起こります。「コールドドラフト」によって流れ落ちた冷気は、床に沿って部屋全体へと広がります。窓の断熱強化も重要ですが、「コールドドラフト」対策として床暖房を設置することも非常に効果的です。
室内の空気をキレイに保てる
冬によく使われる暖房機器として、石油ストーブなどの燃焼系暖房機器があります。
燃焼系暖房機器を使用すると、二酸化炭素や一酸化酸素、二酸化窒素などさまざまな汚染物質を室内に排出します。これら汚染物質は濃度が高まると非常に危険で、重大な健康被害を引き起こす可能性もあるのです。空気汚染は適切な換気をすることで防止できますが、一方で換気は外気の温度の影響を受けるため室内温度は低下し暖房効率も悪くなってしまいます。
またエアコンは、室内のほこりやエアコン内部のカビなどハウスダストを空気中に舞い上げてしまいます。空気中に舞い上がったハウスダストは体内に吸い込みやすくなるため、場合によってはアレルギーを引き起こす原因にもなるでしょう。
床暖房は、運転しても室内を汚染するような物質が発生しないのが大きなメリットです。
危険が少ない
燃焼系暖房機器(ストーブなど)の重大なリスクといえば火災です。住宅火災の原因として必ず上位に入るのは「ストーブ」で、取り扱いを間違えると危険が伴うものでもあります。またとくに幼い子供がいる家庭では、接触して火傷を負う可能性も捨てきれません。
床暖房は、火災や火傷などの危険性が非常に少ない安全なもの暖房器具の一つです。床を裸足で歩いても横に寝っ転がっても安心です。
結露しにくい
建物にとって結露はやっかいな存在で、発生するとカビの原因にもなります。
また構造部が濡れて腐ると耐久性を損ねることも。結露の原因は、室内外の温度差の大きさと室内の湿度の高さです。とくにストーブ等は室内で燃焼し大量の水蒸気を発生させるため、湿度が上昇し結露発生の大きな原因となります。
床暖房は湿度上昇の直接の原因にはならないことから、結露が起こりにくくなっています。
ただし、結露を完全に防止することは非常に難しく、根本的に解決するには建物の高断熱、高気密を検討することが必要となることだけは念頭に置いてください。
掃除が楽になる
エアコンや床置き型の暖房機器などは、シーズンごとに掃除をして使用することが一般的です。特に床置き型の暖房機器は、掃除のたびに移動する必要があるため、労力が伴う大変な作業になってしまう場合があります。
ですが、床暖房はそもそも掃除をする必要がありません。一般的に床暖房は耐久性が高いのも特徴の一つで、10年以上ノーメンテナンスで利用することも可能です。さらに床暖房の場合は、掃除機がけなど通常の床掃除だけで済むため、日々の家事効率もアップするのもメリットの一つです。
空間を効率的に利用できる
床暖房は床仕上げ材の下層に設置するため、他の暖房機器のように室内の空間を狭めることはありません。
家具や電化製品、あるいは好みのインテリアなど自由な演出を楽しむことできるのがメリットでしょう。他の暖房器具の場合は、設置場所を考えた上でお部屋のレイアウトを考える必要が出てくるので、その心配が無くなるだけでも自由度はグッと増します。
床暖房リフォームのデメリット
床暖房を導入するにあたって、当然ですがデメリットもあります。おもなデメリットは以下の通りです。
- 初期コストが高い
- 温かくなるまでに時間がかかる
- 温水式は水漏れの可能性がある
- ランニングコストが高くなる種類もある
- 床仕上げ材が限定される
これらデメリットについて細かく解説します。
初期コストが高い
床暖房を設置するには専門業者による工事が必要です。他の暖房機器の設置と比較しても、材料費と工事費ともに割高となってしまう点では事前に十分な検討が必要です。
なお床暖房の方式や設置範囲によって、コストは大きく変動します。
一般的に床暖房は、大きく「温水式」と「電気式」の2つに分かれます。初期コストが高いのは「温水式」の方で、工事費を抜いたとしても10畳あたり70万円からになるケースが多いです。高くなる理由は様々ありますが、温水式の場合「熱源機」のコストが高いのが原因です。
立ち上がりに時間がかかる
床暖房は、運転を始めて床が温まるまで一定の時間を要するのがデメリットです。
どの程度の時間を要するかは床暖房の種類によって異なる部分ですが、一般的には温水式よりも電気式のほうが多くの時間がかかる傾向にあります。ただし床暖房は、運転を止めた後も余熱が残りしばらくは温かい状態が持続するため、うまく利用すると暖房の効率化も可能です。
温水式床暖房は水漏れの可能性がある
温水式床暖房はパイプにお湯を通過させる方式ですが、万が一パイプに穴が開くことがあると水漏れを起こします。水漏れに気が付かない場合、重要な構造を濡らして腐らせ、建物の耐久性を損ねる可能性もああるので注意が必要です。
ただし、パイプは耐久性の高い素材を使用していることからも、通常の使い方であれば水漏れを起こすことはほぼありません。
ランニングコストが高くなる種類もある
床暖房の種類によっては、電気代など光熱費が高くなるのがデメリット。多くの床暖房販売店では月々のランニングコストについて紹介していないので、事前にどのくらいの運用費が掛かるのかわからないので良心的ではないと思います。
パナソニックが販売している「You温水」を例にすると、10畳のお部屋で1日8時間駆動、床温度を30度にして運用した場合、毎月3900円のランニングコストが目安となっています。エアコンとどっちがコスパが高いのかは利用する製品で変わってくるので、一概に床暖房はランニングコストが高いと言い切れません。
床仕上げ材が限定される
床仕上げ材は何でもいいというわけではありません。床暖房には使えない床材もあります。
もし床暖房不可の材料を使うと、隙間ができたり、材料が反ったりする場合があるため注意が必要です。必ず床暖房に使用できる床仕上げ材を検討しましょう。床材を自由に選べないのは、部屋のレイアウトを考える上でのデメリットになるかもしれませんね。
まとめ
ここまで床暖房のメリットとデメリットを合計11個紹介してきました。
メリットに関しては床暖房を設置した人のほとんどが体感できる部分だと思います。一方のデメリットは、選ぶ床暖房やその人の環境によっては大きな弊害にならないことも。
例えば、水漏れの可能性を考慮する場合は温水式ではなく電気式床暖房にしたり、立ち上がりが早い床暖房を選んだり、初期コストが安い製品を選んだりと選択肢が様々です。弊社が取り扱っている床暖房は、デメリット部分を比較的和らげた製品となっていますので、一度ご検討してもらえたら幸いです。