この記事では、床暖房に関する次のご質問に対してご説明します。
- 床暖房はなぜ温かいのか?
- 床暖房の仕組み
直接工務店やリフォーム店に赴いた時に中々教えてもらえないご質問です。そもそも担当のスタッフが知らない可能性があるくらいです。床暖房の導入前に、どのようにして温めているのかをインプットしてもらえたら幸いです。
床暖房温め方のメカニズム
まず初めに、どうして床暖房は温かくなるのか、そのメカニズムを簡単にご説明します。
床暖房は「伝導」「対流」「輻射(ふくしゃ)」の3つの熱の伝わり方を使い、他の暖房器具にはない快適な空間を作り出しています。主に輻射熱によってフローリングを温め、同時に伝道熱と対流熱を上手に使って部屋全体を温めています。
「伝導」「対流」「輻射(ふくしゃ)」それぞれの熱の伝わり方を簡単にご紹介します。
伝導熱
伝導熱は、固体が媒介することで熱を伝える方法です。
例えば、温かいものを手に持つと熱が手に移動するという現象ですが、これが伝道による熱の移動方法になります。鉄やフライパンを温めると表面が熱くなるのは熱伝導が作用しているからです。
伝導熱を利用したおもな暖房機器には「湯たんぽ」や「ホットカーペット」などがあります。
対流熱
対流熱は、気体や液体などの流体が媒介することで熱を伝える方法です。
例えば、お風呂を沸かすとき流体は温度が上がると膨張し軽くなることで上昇し、徐々に循環しながら均一化されるという現象ですが、これが対流による熱の移動方法になります。ちなみに、「伝道」は熱だけ移動し固体自体は移動しないことに対し、「対流」は熱を持った流体自体が移動するといった点も大きな違いです。
対流熱を利用したおもな暖房機器には「エアコン」や「ファンヒーター」などがあります。
輻射熱
輻射熱は、他の2種類とは異なり、媒介するものが存在しなくても熱を伝えられます。ある熱を持った物体が電磁波を放出し、空間を移動して別の物質に到達することで熱を伝えます。
例えば、太陽熱です。太陽から放出された電磁波が空間を移動し、建物や人に到達することで熱エネルギーに変換されますが、これが輻射による熱の移動方法になります。
輻射熱を利用したおもな暖房機器には「こたつ」や「ストーブ」などがあります。ちなみに「ストーブ」は、「輻射」だけでなく「対流」も同時に行われているため、高い暖房効果が得られることが大きな特徴です。
簡単にですが、床暖房の温め方のメカニズムを紹介しました。床暖房は伝道熱・対流熱・輻射熱の3つを効率的に使っているため、お部屋全体を温めて快適な空間を作ることができるのです。
[/word_balloon]床暖房の仕組みを種類別に紹介
基本的に3つの熱の伝わり方を利用してお部屋を温める床暖房ですが、床暖房の種類によって温め方の仕組みが多少異なります。
主に床暖房には温水式と電気式の2つがあり、それぞれ温め方の仕組みが違います。ここでは、それぞれの床暖房はどのような仕組みで部屋を温めているのかをご紹介します。
温水式床暖房の仕組み
温水式床暖房は、熱源設備で温水を作った上で床下の温水パネルに流し込みます。その温水を循環して部屋全体を温めるのが、温水式床暖房の主な仕組みです。
熱源設備にはガスやヒートポンプ、灯油や電気など様々な方法が採用されていますが、根本的な部分で「温水を使って温める」という仕組みは変わりありません。
温水式床暖房のメリットとしては、立ち上がりが早い事や、ランニングコストが少し安いことが挙げられます。逆にデメリットは、熱源設備の投資で初期費用が高いこと、リフォームにはあまり向いていないことです。
新築の床暖房導入の際に、温水式床暖房を選択するお客様も多いです。温水式床暖房について下記記事でもっと詳しく解説していますので、ぜひ一度チェックして下さい。
参考:温水式床暖房とは?温め方の仕組みやメリット・デメリットを紹介
電気式床暖房の仕組み
電気式床暖房は、床仕上げ材の下層に電気を熱源とする発熱体を敷き込み、通電によって発熱して床面を暖める仕組みを採用しています。発熱体には、電熱線やPTC、カーボンフィルムなどがあり、発熱体の種類の違いで分類されます。
昨今電気式床暖房で多く採用されているのはPTC式やカーボンフィルムで、電熱線は低温やけどの安全面も考慮して採用されにくくなっています。
電気式床暖房で特に人気が高まっているのがPTC式です。PTC式は、床下の発熱体としてPTC発熱体を使用する方式です。PTCとは「Positive Temperature Coefficient」の略で、一定の温度を上回ると電気抵抗が高まる性質のことを言います。つまりPTC発熱体とは、温度が一定程度上昇すると電気抵抗が働き発熱を抑えて自動的に温度調整をする発熱体ということです。
熱を自動調整することで低温やけどのリスクを最小限に回避できます。弊社でもPTC式の遠赤外線床暖房を取り扱っており、ご相談頂くお客様のほとんどがお選びになる床暖房です。
電気式床暖房のメリットは、熱源設備が必要ないので初期費用が安いこと、フィルムが極薄でフローリングに直接重ね貼りもできるのでリフォームに最適なことが挙げられます。
逆にデメリットは、電熱線式の場合ランニングコストが高いこと、立ち上がりが遅いことが挙げられます。
あくまでも電熱線式の場合です!
PTC電気式床暖房はランニングコストも立ち上がりの早さも温水式床暖房とほとんど変わりません。むしろ、種類によってはどちらの面でも温水式床暖房より優れている製品もあります。電気式床暖房をもっと詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
まとめ
ここまで、床暖房がなぜ部屋全体を温めるのかのメカニズムや、床暖房の種類毎の仕組みについてご紹介してきました。
伝道熱・対流熱・輻射熱の3つを上手く利用した床暖房は、暖房器具として非常に優れていると言えます。ただし、他の暖房器具とは違い初期費用やランニングコストの面で割高になってしまうので、導入するかどうかは慎重に検討することをおすすめします。
弊社が取り扱っている床暖房はランニングコストも立ち上がりも早くなっていますので、是非一度チェックしてみてください。