電気式床暖房の導入を検討している人で、次のことでお悩みではないでしょうか?
- 電気式床暖房にはどんなメリットがあるのか?
- 逆にデメリットは?
- 初期コストやランニングコストの費用面を知りたい
そこでこの記事では、電気式床暖房のメリット・デメリットを包み隠さずご紹介します。床暖房の導入を検討しているお客様の参考になりましたら幸いです。
電気式床暖房4つのメリット
電気式床暖房を導入するとどのようなメリットがあるのか、温水式床暖房と比較しながらご紹介します。ただし、蓄熱式は他の床暖房方式とは性質が異なり、同じ括りとするには無理があるため、ここでは除外して解説。
主なメリットは以下の4つです。
初期費用が安い
電気式床暖房は、工事の規模が大きくなりにくいことから初期コストは比較的安くできます。
なぜなら、熱源が電気で施工性もよく比較的簡単な工事で設置できるためです。一方、温水式床暖房は、熱源設備の工事や配管工事がともなうため、初期コストは高くなってしまいます。
後付けのリフォーム施工に適している
温水式床暖房の発熱体は薄く加工性がよいため、リフォームに適しています。
床暖房リフォームは「張り替え」か「重ね張り」のどちらかになります。コストを抑えるには「重ね張り」が有効ですが、その場合は敷居など周辺と高さ調整が必要です。段差はつまずきの原因となり、とくに高齢者がいる家庭では危険な存在となるため、できるだけ解消することを考慮する必要があるでしょう。
電気式床暖房のフィルム本体は非常に薄く、大きな高さ調整が必要ありません。
メンテナンスがほぼ不要
電気式床暖房は、一度設置するとメンテナンスは不要です。建物の寿命が、そのまま電気式床暖房の寿命と考えてもよいです。温水式床暖房の場合は、不凍液の交換が必要となり、また熱源設備の耐用年数は床暖房より短く定期的なメンテナンスが必要です。
設置の自由度が高い
電気式床暖房の発熱体は薄く加工性がよいため、施工する床面の形状や広さを選びません。とくにカーボンフィルム式は、施工範囲に合わせた大きさや形状で自由にカットできるなど、あらゆる環境に対応できる点で温水式と比べて優位にあります。
例えばリビングだけでなく、脱衣所やトイレにも設置することが可能です。
電気式床暖房4つのデメリット
続いて、電気式床暖房の導入にあたり、どのようなデメリットがあるのか温水式床暖房と比較しながらご紹介したいと思います。
おもなデメリットは以下の4つです。
立ち上がりが遅い
電気式床暖房は、立ち上がり時間が温水式床暖房と比較して少し遅い傾向にあります。運転を開始し適温になるまで緩やかに上昇するタイプが多く、環境によってはタイマー設定などの検討が必要かもしれません。
どのくらい遅いかと言うと、床暖房の温度が30度に達するまで2時間以上かかってしまうくらい遅いです。
電気代が高くなりがち
電気式床暖房の多くは、温水式床暖房よりもランニングコストが高くなる傾向にあります。初期コストは電気式床暖房のほうが安くなりますが、長期的な視点ではトータルコストで逆転するケースもあるでしょう。
パナソニックの「Youほっと」を例に挙げると、次のような電気代金目安となります。なお、1日8時間連続使用した上でのランニングコストの目安です。
25度設定 | 30度設定 |
約3,100円/月 | 約6,800円/月 |
Youほっとはコスパが良いので、25度設定で運用すれば比較的電気代を抑えることができます。一般的に床暖房を30度まで上げて運用することはほとんどないと思いますので、毎月3,000円前後の電気代金であれば許容範囲の方も多いのではないでしょうか。これであれば、温水式床暖房とランニングコストはほぼ変わりません。
温度ムラが発生する製品もある
電気式床暖房は、方式によっては温度ムラが発生しやすいものがあります。
とくに電熱線を配置する電熱線式は、おもに線状に発熱し電熱線が通っていない部分などは温度が上がりにくい状態が生じることがあります。温度ムラがあると、歩行時など冷たく感じる部分があり十分な快適さを得られないかもしれません。
対してPTC式やカーボンフィルム式などは面状の発熱体となることから、温度ムラが少ないことが特徴でもあります。このことから、電気式床暖房でも電熱線式はおすすめしません。最近はカーボンフィルム式やPTC色が主流となってきています。
低温やけどを負う可能性がある
電気式床暖房は、種類によっては暖房運転中に閉塞面の温度が上昇し、その状態が継続するようであれば低温やけどを負う場合があります。閉塞面とは、床面に人やものが接している面のことです。ただし、PTC式やカーボンフィルム式など製品によっては自動温度調節機能が働き低温やけど対策として効果を発揮するものもあります。
余談ですが、低温やけどは滅多なことでは起こりません。低温やけどにいたるまでの時間については、兵庫県立健康生活科学研究所生活科学総合センターの資料に以下のような記述があります。
- 皮膚の温度が44℃の場合:3時間~4時間
- 皮膚の温度が46℃の場合:30分~1時間
- 皮膚の温度が50℃の場合:2分~3分
よく床暖房業界の中で、「電気式床暖房は低温やけどのリスクがあるから温水式を選びなさい」と言われることがありますが、それに関してはデタラメなので床暖房選びの際は気にしなくても大丈夫です。使い方さえ間違わなければ、どちらの床暖房を選んだとしても低温やけどのリスクは変わりません。床暖房の低温やけどのリスクに関しては、下記記事でもっと詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。
参考:床暖房で低温やけどが起こる原因!温水式が安全はデタラメ
電気温水式床暖房とは別物なので注意
床暖房を導入するにあたって、「電気式床暖房」と「温水式床暖房」とは全く性質が異なるものとして検討する必要があります。これらの違いをまとめると以下の通りとなります。
- 電気式床暖房:床面を加熱する媒体が発熱体
- 温水式床暖房:床面を加熱する媒体が温水パネル
特に間違えやすく混同しやすいのは「電気式床暖房」と「電気温水式床暖房」です。「電気温水式床暖房」は「温水式床暖房」の種類のひとつで、ヒートポンプや多機能型エコミュートなど燃料を電気とする熱源設備を使った床暖房方式のことをいいます。
もし「電気式床暖房」の設置を検討しているなら、別物の「電気温水式床暖房」を候補に含めてしまうと、複雑化するため注意が必要です。床暖房の種類の違いを知り、そしてそれらの特徴を理解することで、ニーズに適したものを選ぶことが可能になるでしょう。
まとめ
ここまで、電気式床暖房のメリット・デメリットを詳しくまとめてきました。最後にメリット・デメリットのまとめとなります。
【メリット】
- 初期コストが安い
- リフォームにも適している
- メンテナンスが不要
- 自由度が高い
【デメリット】
- 立ち上がりが遅い
- ランニングコストが比較的高い
- 温度ムラが発生するものもある
- 低温やけどを負う可能性もある
ランニングコストが比較的高いと言われていた電気式床暖房ですが、昔と違ってその問題を解決するような製品も登場してきました。低温やけどに関しては電気式だけでなく他でも起こりうる問題なので、床暖房全体のリスクと捉えてください。最近はリモコンの制御機能が発達したので、電気式床暖房でも立ち上がりの遅さをタイマー機能でカバーしたり、自動で温度制御する機能も備わっていたりします。
電気式と温水式、そして最近人気が出てきた遠赤外線床暖房の3つが選択肢となりますが、それらをしっかりと比較した上で床暖房の導入を決定しましょう。