床暖房導入において最も大事と言っても過言ではないのが毎月のコスト、いわゆるランニングコストです。いくら初期費用が安かったとしても、ランニングコストが悪いと10年間の長いスパンで見たときに損をしてしまうかもしれません。
そこで今回の記事では、ガスを主に使う温水式床暖房と電気式床暖房の2つを比較し、どちらがランニングコストの面で優れているかをご紹介します。
温水式床暖房のランニングコスト目安
温水式床暖房は、熱源設備でつくった温水を温水パネルへ供給し、その温水が循環することで床面を暖めます。つまり温水式床暖房のランニングコストは、熱源設備で温水をつくるときに消費するエネルギーコストです。
熱源設備で使用する燃料には「電気」「ガス」「石油」の3種類があります。多くの場合は、自宅のプロパンガスなどに合わせてガス温水式床暖房を選択するパターンが多いです。
熱源設備によってランニングコストは違ってくることから、どれを選択するのかということは導入において重要なポイントになるでしょう。
これからご紹介するコストは、12畳の部屋で1日あたり8時間稼働した場合の1ヶ月の目安を算出しています。また温水式床暖房のランニングコストは、下記の光熱費の他に熱源設備のメンテナンスコストや床暖房パネルの不凍液交換コストなどが別途必要になります。
熱源設備 | ランニングコスト目安 |
---|---|
電気 | 約5,000円/月 |
ガス | 約6,000円/月(都市ガス) |
灯油 | 約6,000円/月 |
ガスは都市ガスとプロパンガスでコストが大きく変化
ガス温水式床暖房で気をつけてもらいたいのは、都市ガスとプロパンガスで料金がランニングコストがガラッと変わることです。上記表は都市ガスを目安にしているので安めになっていますが、これがプロパンガスだと1.5〜2倍ほどのガス料金となります。
また厄介なことに、プロパンガスは契約するガス会社によって費用に差があります。火力が強く立ち上がりが速いとされているプロパンガスですが、ランニングコストの面だけで見るとイマイチなのは否めません。
灯油式は灯油価格によってコストが変化する
灯油を熱源とした温水式床暖房では、当たり前ですが灯油価格でコストが変化します。仮に18Lの灯油価格が1,100円だとした場合、床暖房をつけると1日に約3Lは消費するので、1日あたり183円のコストが最低でも発生します。
これを30日に換算すると毎月のランニングコストは5,500円とガスと比較すると安くなります。灯油を熱源とした温水式床暖房は、ガス、電気と比較しても安いとされていますが灯油価格の変動でランニングコストが変わることだけは注意してください。
2020年9月の執筆時点では灯油価格が安くなっていましたが、2018年10月だと一番安い都道府県で1,696円でした。94円/Lとなるので、床暖房をつけて1日3L消費すると1日あたりのコストが282円/Lに変動します。これを30日換算すると約8,480円。都市ガスを使った温水式床暖房よりもランニングコストが悪くなるので、一概に灯油式の方が安いとは言い切れないのが事実です。
電気式床暖房のランニングコスト目安
電気式床暖房は、発熱体に電気が供給されることで発熱し床面を暖めます。つまり電気式床暖房のランニングコストは、運転中の電気代になるということです。
電気式床暖房のランニングコストは温水式床暖房よりも高くなる傾向にあります。これは、電熱線などは温度ムラが生じやすく出力を上げて補っていること、そして適温に達するまでのタイミングで多くのエネルギーと消費することなどがその理由です。
しかし、電気式床暖房も技術開発によって省エネルギー化が進み、近年では大幅なランニングコストの削減を実現したものも登場しています。
これからご紹介するコストは、温水式床暖房と同様に10畳の部屋で1日あたり8時間稼働した場合の1ヶ月の目安を算出しています。また電気式床暖房は、温水式床暖房と違い基本的に導入後のメンテナンスは必要ありません。
表で比較するのは、パナソニックの「フリーほっと」と当社が取り扱う遠赤外線式床暖房です。
[/word_balloon]製品 | ランニングコスト目安 |
---|---|
フリーほっと | 3,300円〜7,300円/月 |
当社の床暖房 | 1,838円〜4,304円/月 |
電気式床暖房のランニングコストはメーカーによっても大きく異なるのが現実
電気式床暖房は温水式床暖房よりもランニングコストが高いと言われていますが、メーカーの選び方で大きく異なります。むしろ最近の電気式床暖房だとメーカーによっては温水式床暖房よりもランニングコストが安くなります。
その代表としたパナソニックの「フリーほっと」が挙げられます。
床温度25度で1日8時間床暖房を使った場合、1ヶ月のランニングコストは3,300円と驚くほど安くなっています。仮に床温度を30度で使い続けたとしても毎月7,300円と比較的安めです。
とは言え、床温度を30度に設定することはほとんどなく、大抵は23度〜26度付近で利用されます。
ランニングコストが悪い電気式床暖房は電熱線
一昔前の電気式床暖房と言えば、電熱線ヒーターが主流でした。
電熱線ヒーター式床暖房は床下に電熱線ヒーターを設置して床を温める仕組みです。昔から使われている方式なので信頼性はありますが、昨今は人気が落ちてきています。
理由は、ランニングコストが高いことと立ち上がりの遅さが挙げられます。
25度付近に床温度を上げるのにも1時間以上かかることが多く、電気量も増えるので長時間利用するとランニングコストは割高に。
そこで昨今は、電熱線ヒーター式の弱点を補うような、PTCヒーターやカーボンフィルムの電気式床暖房が増えてきました。薄いフィルムを張り床全体を温めるので床面全体を均一の温度に保ち、高温になった部分を自動的に発熱を抑えることができます。
まだまだ日本では温水式床暖房が主流ですが、これから電気式床暖房を設置するご自宅も増えてくると思います。初期費用も安くランニングコストも悪くないので、隙が無くなってきました。
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