床暖房の一部には、室外機の設置が伴うものがあります。そして室外機は、騒音が原因でトラブルに発展している事例も少なくありません。
室外機の騒音とは、おもに「低周波」です。
「低周波」による人への影響は個人差があるものの、なかには深刻な症状を訴え日常生活にも支障を及ぼすこともあります。また室外機の騒音問題は、設置した後に発覚することが多いため、対策が難しいことも実情です。
そこで今回は床暖房の室外機の騒音について、またその対策なども併せてご紹介したいと思います。
低周波音とは?
そもそも低周波音とは何なのか、そして低周波音が与える周囲への影響とはどのようなものなのかを解説致します。
音は空気が振動することで伝わりますが、1秒間に振動する回数のことを周波数といい、単位をHz(ヘルツ)で表します。
また音は周波数が多いと高く、少ないと低く聞こえる性質があり、とくに周波数の低い100Hz以下の音を低周波音と呼びます。
低周波音が人体に与える影響
低周波音による影響は、モノへの影響と人への影響があります。
モノへの影響とは、窓や建具などが低周波音によって振動することなどです。人への影響とは、振動や圧迫を感じることによる睡眠障害や食欲不振、嘔吐など、心身にさまざまな症状を引き起こすことが挙げられます。
低周波はいたるところで発生しているため、大きな問題に発展するケースはそれほど多くはありません。しかし個人差があり、過度に影響を受ける人もいる点では注意が必要です。
行政による低周波音の対応も発表されている
低周波音の苦情が増加傾向にあることを受け、消費者庁の消費者安全調査委員会による調査報告書が公開されています。そのなかで、低周波音の影響は、個人差があるものの健康被害に関与している可能性があることに言及があります。
また同時にリスク低減策についても記載があり、その内容とは以下の通りです。
- 設置上の対策
- 消費者への周知
- 低周波音の音圧レベルの表示
- 運転音の改善
- 低周波音による人体への影響についての研究
- 健康症状が発生した場合の対応
これら対策について今回はくわしく触れませんが、低周波音と健康被害に関連性がある可能性は認められるもののまだ不明な点が多く、今後も課題を持って取り組むとされています。
床暖房の騒音の多くは「室外機」が原因
床暖房の騒音問題は室外機が原因であることが多くのケースで、その騒音とはおもに低周波音です。低周波音による苦情件数は増加傾向にあり、なかには低周波過敏症などの健康被害を訴える人もいます。
床暖房には多くの種類があり、なかには室外機の設置が伴うものがあります。室外機のある床暖房とは、一部の「温水式床暖房」です。
床暖房には大きく「温水式床暖房」と「電気式床暖房」があります。そのうち「温水式床暖房」は、床仕上げ材の下層に温水パネルを敷設し、熱源設備でつくった温水をパネル内部に流すことで床面を暖める方法です。
熱源設備にもいくつかの種類がありますが、とくにヒートポンプ技術を用いた室外機が低周波音を発生させる原因の一つとなっています。ヒートポンプとは、空気中の熱を効率よく集めてお湯をつくる省エネ性の高い技術のことです。
ヒートポンプ技術によって機能している、おもな床暖房の熱源設備は以下の通りです。
- ヒートポンプ式熱源機
- エコキュート
とくにエコキュートなどは深夜の安い電気料金を利用してお湯をつくるため、周囲が静かなときに稼働することでよけいに注目されるのかもしれません。
ちなみにエアコンや冷蔵庫などもヒートポンプ技術が使われています。また、エネファームなども騒音があるとして相談件数の多い設備になります。
室外機がうるさいと感じた時の対策方法
ここからは室外機の騒音が気になるときの対処法についてご紹介したいと思います。
室外機の騒音対策として考えられるおもな方法は以下の通りです。
- 室外機のコンディションチェック
- 防振シートを敷く
- 設置場所の移動
- 防音壁の設置
室外機のコンディションチェック
室外機の騒音が経年とともに大きくなっているようなら、コンディション不良の可能性があります。専門業者に依頼して点検やメンテナンスを実施することで改善されることもあります。
また個人でも掃除をするなど簡単なお手入れをすることも可能ですが、専門業者にアドバイスをもらった上で掃除することをおすすめします。
防振シートを敷く
室外機が振動し床面との接触による騒音がある場合は、防振シートを敷いた上に室外機を設置しなおすと症状がおさまることがあります。
ただしこれは低周波音の対策にはなりません。もし低周波音による騒音対策が必要であれば、ほかの方法を検討する必要があるでしょう。
防音壁の設置
室外機の周辺に防音壁を設置する方法もあります。しかし騒音を確実に防ぐには、かなりしっかりとした壁をつくる必要があり、その場合は高額なコストが必要になるでしょう。
つまり現実的な方法とはいいにくいということです。
設置場所の移動
音は距離が離れるほど小さくなるため、音が届かない場所へ室外機を移動します。
この方法が対策としては有効といえますが、配管の延長工事が必要になることや、適した場所が確保できないといったことも考えられます。
室外機のない床暖房に乗り換えも視野に
室外機の騒音は、必ず起こるという問題ではありませんがリスクであることには変わりありません。万が一起こってしまった後では、対策が難しいことは先に解説した通りです。
確実に騒音対策として機能するのは、室外機のない床暖房に乗り換えるということになるでしょう。
室外機のない床暖房は、「電気式床暖房」もしくは「遠赤外線床暖房」です。
「電気式/遠赤外線床暖房」であれば電気の供給さえあれば稼働するため、室外機のような設備を必要としません。つまり騒音によるトラブルを心配する必要がなくなるということです。
また「電気式/遠赤外線床暖房」は、既存の床の上に施工できるなどリフォームに適していることも大きな特徴です。施工が簡単に行えるということは、導入コストが抑えられることにつながります。
まとめ
床暖房の室外機の騒音問題は、ときには深刻なトラブルに発展する場合があります。ヒートポンプ式のような室外機が伴う床暖房をこれから導入する計画がある場合は、設置位置や周辺環境にまで注意をして検討することが重要です。
騒音トラブルのリスクが懸念される場合であれば、「電気式床暖房」や「遠赤外線床暖房」への乗り換えや新規設置をおすすめします。弊社が取り扱っている床暖房は遠赤外線床暖房で、室外に熱源機を設置する必要がないので騒音とは無縁です。
また、導入コストも安くランニングコストも安いのが特徴です。是非一度、弊社の遠赤外線床暖房の特徴をチェックしてみてください。