温水式床暖には、主に3つの種類があります。
- ガス
- 電気
- 石油(灯油)
この3種類のうち広く普及しているのは「ガス」と「電気」ですが、光熱費についてはガス代と電気代などで違いがあり、特徴もそれぞれ異なります。
この記事ではガスと電気の温水式床暖房を比較し、どちらがお得なのか解説。また、ガス式と電気式の見分け方も合わせてご紹介します。
なお、「電気温水式床暖房」と「電気式床暖房」は全くの別物です。ここでは電気式床暖房については取り上げていませんので、誤認識ないようお願いします。
温水式床暖房 ガスと電気の特徴
ガスと電気の温水式床暖房を比較しますが、まずはそれぞれの床暖房にはどんな特徴があるのかをご確認ください。それを踏まえた上で、メリット・デメリットに目を通してもらえると理解が深まると思います。
ガス温水式床暖房の特徴
ガス温水式床暖房は、ガスを燃料とする熱源設備を使って床下の温水パネルに供給する温水をつくる方式です。
ガスを使えないオール電化のご家庭だと選択肢に入りませんが、LPガスや都市ガスを利用しているお家であればまだまだ需要が高い温水式床暖房となっています。
主なガス温水式床暖房として、次のような製品が挙げれらます。
- 床ほっと(リンナイ)
- PURPOSE
- ノーリツ
- パロマ
お住まいの地域毎に、都市ガスなどがガスを使った熱源設備を売り出しています。例えば大阪ガス、弊社の地域では仙台市ガス局があります。
電気温水式床暖房の特徴
電気温水式床暖房は、電気を燃料とする熱源設備を使って床下の温水パネルに供給する温水をつくる方式になります。ヒートポンプと呼ばれる技術を利用し、高い省エネ効果が期待できるのが特徴です。
ヒートポンプとは、もともと空気中にある熱を効率よく集めて温水をつくる技術。
主な電気温水式床暖房として、次のような製品が挙げられます。
- ホッとエコフロア(ダイキン)
- フリーほっと温水(パナソニック)
- You温すい(パナソニック)
お気づきかもしれませんが、電気温水式床暖房はヒートポンプ式温水床暖房とも呼ばれています。温め方の根本的な仕組みはどのメーカーでも変わりません。
温水式床暖房 ガスと電気の比較
それぞれの温水式床暖房のメリット・デメリットを見ていくことで、比較がしやすくなります。ここでは、ガスと電気のメリット・デメリットを比較し、違いをまとめています。
ガス温水式床暖房のメリット・デメリット
メリット
- 導入コストが安い
- 熱源設備がコンパクトで省スペース
- 立ち上がりが早い
デメリット
- ランニングコストが高い
- 定期的なメンテナンスが必要
電気温水式床暖房のメリット・デメリット
メリット
- ランニングコストが安い
- 安全性が高い
- オール電化のご家庭に最適
デメリット
- 導入コストが高い
- 定期的なメンテナンスが必要
比較結果総評
どちらにもメリット・デメリットがあるので、比較結果を見てもどっちを選ぶべきか決め手に欠けるのは事実です。
一点決め手になるとすれば、電気温水式床暖房は電気を使って温水を作るので、オール電化のご家庭に最適だと言うことです。昨今はオール電化住宅も増えてきたため、床暖房の為だけにガスを契約するのはナンセンスとも言えるでしょう。
逆にガスを使っているご家庭であれば、ガス温水式床暖房を採用しても良いと思います。
温水式床暖房リフォーム費用目安とランニングコスト
最終的には、リフォームにかかる費用(初期費用)とランニングコストのバランスで決定するのも良いでしょう。どんなに良い製品でもコストパフォーマンスが悪ければ、普段使いとしての実用性に欠けてしまいます。
下記は、ガスと電気温水式床暖房のリフォーム費用とランニングコストの目安となります。※ 12畳モデル/1日8時間利用した時の目安。
電気温水式 | ガス温水式 | |
初期費用目安 | 50〜100万円 | 30〜70万円 |
ランニングコスト目安 | 約5,000円/月 | 約7,500円/月 |
電気温水式床暖房の熱源設備は基本的に高く、多機能エコキュートを採用した場合は100万円近くの設備投資が必要となります。リフォーム費用を熱源設備だけで見た場合、ガス温水式が圧倒的に安くなるのは間違いありません。
ただし、電気温水式床暖房でエコキュートを採用する場合は、夜間の安い電気料金で沸かしタンクに貯めておけるため、もう少しランニングコストが安くなることが予想されます。
温水式床暖房 ガスと電気の見分け方
ガス温水式も電気温水式も温める仕組みは、熱源設備を使って温水を温めてパネルに流し込むところまで同じです。そのため、家の中でガスを使っているのか、それとも電気を使っているのかは見極めが非常に難しいと言えます。
しかし、外に出ると見分け方は一気に簡単になります。
見分け方のコツは、熱源設備を見ることです。
一般的にガス温水式の熱源設備は給湯器程度の大きさで、電気温水式よりコンパクトサイズです。一方電気温水式は給湯器の他に貯水タンクを一緒に設置しているケースが多いため、給湯器の横に縦長の貯水タンクがある場合ほとんどがヒートポンプ温水式床暖房を採用しています。
ガスにもエコウィル等の熱源機で作ったお湯を貯めて置くことができますが、初期費用が80万円以上と高額なのがデメリットです。これであれば電気温水式床暖房と初期費用はほとんど変わりありません。
まとめ
温水式床暖房を採用するうえで、ガスと電気のどちらを選択するのかという点では、最終的に用途や目的から決定することをおすすめします。コスト面で判断するのか立ち上がりの早さなのか、あるいは安全性を重視するのかなど、用途や目的は家庭ごとに異なる部分になります。
ただし快適性という点において、遠赤外線を利用した輻射で暖める床暖房は、方式に関わらず快適性の高い暖房機器であることは間違いありません。
床暖房選びに迷っている方の参考になりましたら幸いです。