床暖房は赤ちゃんに危険?低温やけどを防ぐマットの利用を!

床暖房は、冬の生活を豊かにする快適な暖房機器です。しかし赤ちゃんにとって危険な存在になるという声も一部聞こえてきます。赤ちゃんは危険を感じても、それを周囲に伝えることは簡単ではありません。もし床暖房が赤ちゃんにとって危険な存在になり得るなら、床暖房の使い方には細心の注意を払わなければなりません。

そこで本記事では、床暖房が赤ちゃんに与える可能性がある危険性と、それらを防ぐためのアイテムをご紹介します。

床暖房は赤ちゃんにとって危険?次の症状に気をつけよう!

床暖房が赤ちゃんに与える可能性のある危険性ですが、考えられる危険な症状は、以下の3つが挙げられます。

  • 低温やけど
  • 脱水症状
  • あせも

低温やけど

低温やけどとは、40℃前後の低温のものと長時間接触することで起こるやけどの症状のことを言います。

床面に人が接触している部分の温度を「閉塞温度」と言いますが、床暖房の種類によっては「閉塞温度」が高くなり低温やけどにつながることがあります。長い時間をかけてゆっくりと進行し、気が付いたときには大きなダメージを負っていることもあるため十分な注意が必要です。

低温やけどの症状は皮膚の表面からどの程度深くまで損傷が及んでいるかで変わり、3段階のレベルで分類されます。

低温やけどのおもな症状は以下の通りになります。

レベル症状
低温やけど損傷レベルⅠ度損傷の深さは表皮で、軽い痛みとともに赤みが見られる
低温やけど損傷レベルⅡ度損傷の深さは真皮で、強い痛みとともに水ぶくれなどが現れる
低温やけど損傷レベルⅢ度損傷の深さは皮下組織で、神経まで損傷を伴うと痛みの感覚を失い、血流が悪化して黒くなる

脱水症状

脱水とは、体内から一定量の水分と塩分が失われることで起こる症状のことをいいます。

赤ちゃんの水分量は体の70~80%と大人よりも割合が高く、必要とする水分摂取量も多くなります。そのため大量の発汗や下痢などがあった場合、十分な水分を補給してあげないと脱水を起こしやすくなるのです。

また、代謝が活発なことや体温調節機能も発達していないこともあり、脱水症状を周囲が的確に察知することも必要になるでしょう。

床暖房面に接触する時間が長くなると「閉塞温度」が高まり、赤ちゃんの発汗を促すことがあります。過度に発汗してしまうと、脱水症状につながるため注意が必要です。

脱水症状のおもな症状は以下の通りです。

レベル症状
脱水症状が軽度目がわずかに落ちくぼみ、口の中は若干乾燥し、涙や尿の量が減少する
脱水症状が重度目が深く落ちくぼみ、口の中はひどく乾燥し、涙や尿が出なくなる

あせも

あせもとは、汗がたまり汗腺をふさいでしまうことで起こる炎症のことをいいます。

赤ちゃんは、大人よりも代謝が活発で汗の量が多いため、汗腺がつまりやすくあせもにつながってしまいがちです。またあせもは軽度であれば比較的治りやすい症状ですが、赤ちゃんは痒みをがまんできずにかきむしりキズを負ってしまうこともあるでしょう。

床暖房に長時間接触していると、発汗を促すとともに閉塞面で汗がたまりやすく、汗腺がつまりあせもを起こしやすいため注意が必要です。

あせものおもな症状は以下の通りです。

レベル症状
あせも症状が軽度赤い発疹ができ、かゆみがある
あせも症状が重度かきこわして細菌に感染し、水ぶくれや化膿などが現れる

床暖房の種類で危険性が変わることはほぼない

床暖房

床暖房には大きく「温水式床暖房」と「電気式床暖房」の2種類があります。

「温水式床暖房」の場合、床下の温水パネルに暖められたお湯が常に循環しているため、閉塞温度の上昇を抑制する効果が働き低温やけどになりにくいと言われています。一方で「電気式床暖房」の場合、床下の床暖房パネルの発熱体が発熱を続けることで、閉塞温度の上昇を促し低温やけどになりやすいと言われています。

ところが近年では技術開発が進み、電気式床暖房でも自動調節機能など安全設計が施されており低温やけどのリスクはかなり軽減されています。また自動調節機能によって温度の上昇を抑えることで、低温やけどだけでなく脱水やあせもを防ぐ効果も期待できます。むしろ制御機能が発達し続けている電気式床暖房の方が、最近は人気がじわじわと伸びているくらいです。

したがって、床暖房の種類による危険性の度合いに違いはないと言っても良いでしょう

床暖房に赤ちゃんを寝かせる時のポイント

床暖房は赤ちゃんにとって、低温やけどや脱水などのリスクは可能性としてありますが、しかし床暖房の選択や使い方、あるいは周囲の配慮で防止できます。

また、赤ちゃんにとってとくにリスクが高いのは、赤ちゃんを寝かせるタイミングかもしれません。床暖房の使用中に赤ちゃんを寝かせるとき、どのようなことに注意しておくべきなのか、いくつかのポイントをご紹介したいと思います。

床暖房の温度設定

まずは床暖房面との閉塞温度の上昇を抑える必要があります。

赤ちゃんは体温調節機能が十分発達していないため、温度は20℃か20℃強程度の低温度設定にしておくことがポイントです。また床暖房の種類によっては自動調節機能など安全設計が施されており、温度上昇を防ぐとともに低温やけどなど健康面での配慮も可能になります。

湿度の管理

赤ちゃんを寝かせる部屋は温度だけでなく湿度の管理も重要です。

床暖房は輻射熱によって部屋全体を暖め、同時に空気中に蓄えられる飽和水蒸気量が増えることによって相対湿度が低下します。

室内の湿度は、40~60%程度を維持する必要があり、必要に応じて加湿器などを使用するとよいでしょう。40%以下になるとインフルエンザウィルスが活発になり、60%を超えるとカビやダニが発生しやすくなります。

赤ちゃんの寝る場所にはマットやベッドを使う

赤ちゃんを床暖房に直接触れないようにするためのおすすめアイテムとして、「マット」や「ベッド」があります。おすすめのアイテムを2つご紹介します。。

ベビーベッド

ベビーベッド

まずはベビーベッド。

赤ちゃんを寝かせるときはベビーベッドを使うことが、リスク回避という意味では最も適しているかもしれません。床暖房は輻射によって部屋全体をムラなく均一に暖めることができるため、ベビーベッドでも快適性に大きな違いはないでしょう。

また床面付近では、ほこりの舞い上げがあるため、場合によってはアレルギーの原因にもなります。つまり赤ちゃんが寝る環境は、床よりもベッドの上のほうが適しているのです。

ただしベビーベッドを床暖房面に配置する場合は、足付きのものを使用することもポイントになります。床面を広い範囲で覆うと輻射熱を遮り、暖房効果を阻害することになります。

ジョイントマット

ジョイントマット

床暖房対応のジョイントマットなども、敷くことによって低温やけどのリスクは軽減されます。

ただし床暖房対応のジョイントマットは、耐熱性を高め変形を防止するという目的のものが多いです。耐熱性は優れていても通気性は期待できない可能性が高く、床暖房の輻射熱は遮られ暖房効率は薄まるかもしれません。

したがってジョイントマットを使用する場合は、できるだけ床暖房面を覆う面積を狭くすること、必要ないときは撤去することなどもポイントになるでしょう。

まとめ

床暖房は大人にとっては非常に快適な暖房機器ですが、赤ちゃんにとってはリスクになる場合があります。ただし近年の技術進歩によって、床暖房の種類によって低温やけどや健康面へのリスクにはほとんど差がありません。

もし、赤ちゃんがいるご家庭で床暖房を使うのでしたら、ベビーベッドやジョイントマットの利用をおすすめします・