新築時に床暖房の導入をスルーしたものの、あとから設置したくなるケースも少なくありません。その際に、次のような悩みを抱える人もおります。
- そもそもあとから床暖房を設置できるのか?
- 設置する際の注意点は?
- 後付けの場合費用が高いのでは?
まず結論として「床暖房をあとから設置することは可能」です。また複雑な形状などあらゆる設置条件に対応が可能でリフォームに適した製品もあるため、導入に不安を感じている人も安心してください。
今回は、費用をできるだけ抑えて後付けで床暖房を導入する方法や、リフォームに適したオススメの床暖房の種類についてご紹介したいと思います。
床暖房はあとから設置できる?
床暖房のあとから設置は可能です。後付けで設置する方法はおもに2つあります。
- 重ね張り
- 張り替え
それぞれの設置方法でメリット・デメリットがありますので、その辺りを詳しくご説明します。
重ね張り
既存の床材のうえから床暖房を敷設し、さらにフローリングなどの床材を張って仕上げます。重ね張りは、短い工期で施工できるため生活に支障をきたすことなく導入できる点が大きな特徴です。
ただし床暖房と床仕上げ材の分だけ高くなる点では注意が必要です。厚みの大きな製品を採用すると敷居や周辺部位よりも高くなるなど段差が生じる可能性もあります。床面の段差はつまずきの原因にもなるため、とくに高齢者がいる家庭では配慮が必要になるでしょう。
床暖房を重ね張りする場合は、できるだけ厚みの薄いものを選ぶことが重要です。厚みがあると、フローリングとドア部分が干渉して開閉ができなくなるデメリットが付きまといます。
張り替え
既存の床材を剥がして床暖房を敷設し、さらにフローリングなどの床材を張って仕上げます。張り替えは、大きな高さ調整が必要なく新築同様の仕上がりが期待できることが大きな特徴です。
ただし大がかりな施工がともない廃棄物の処分も増えるため、導入コストは高くなってしまいます。また粉じんの発生や、工期が長くなってしまう点では、生活への影響を考慮しておく必要があるでしょう。
床暖房の後付け費用はいくら?
床暖房をリフォームで後付けする場合の費用は、床暖房方式や施工方法によって変わります。
今回は、床暖房方式を「温水式」と「電気式」、施工方法を「重ね張り」と「張り替え」に分類し、それぞれの組み合わせで後付け費用の一例をご紹介します。
ただし温水式床暖房の場合はエネルギーの供給元となる熱源設備が必須ですが、これからご紹介する費用には含んでおりません。新たに熱源設備の設置が必要な場合は、別途工事が必要となります。なおコストを算出するにあたり、12畳の部屋をモデルとします。
種類 | 施工方法 | 材料費 | 施工費 | 合計費用 |
温水式床暖房 | 重ね張り | 30〜60万円 | 35〜40万円 | 65〜100万円 |
張り替え | 55〜90万円 | 85〜150万円 | ||
電気式床暖房 | 重ね張り | 35〜65万円 | 15〜25万円 | 50〜90万円 |
張り替え | 35〜65万円 | 70〜130万円 |
基本的に施工費用は電気式床暖房より温水式床暖房の方が高くなります。温水パネルの設置や熱源設備との接続作業が発生するので電気式床暖房よりも高くなる傾向にあります。
床暖房を後付けする際の注意点
床暖房を後付けする場合、いくつか注意しておかなければいけないことがあります。おもな注意点は以下の通りです。
- 段差が生じる場合は調整が必要
- 建具や家具との干渉はないか確認する
- 床仕上げ材は床暖房用のものを採用する
- 必要に応じて下地の劣化チェックをする
段差が生じる場合は調整が必要
床暖房を後付けすると段差が生じる場合があります。施工していない周辺部との間で段差が生じるようなら、調整材を入れ緩やかな傾斜をつくることで段差解消が可能です。
また温水式床暖房の場合は、どうしても温水パネルの厚みが厚く床面が高くなってしまうため、周辺との高さ調整が難しく張り替えでしか対応できないケースも発生します。
重ね張りをするなら、できるだけ厚みの薄い材料を検討することがポイントになるでしょう。
建具や家具との干渉はないか確認する
床面が高くなることで、出入り口や家具の開き戸を開閉するときに床と干渉し動作不良を起こす可能性がある場合は検討が必要です。
場合によっては、家具などを取り外したり、床材を剥がしたりする必要もあるかもしれませんが、そうなるとコストアップにつながってしまいます。
この場合も厚みの薄い材料を検討することがポイントになるでしょう。
床仕上げ材は床暖房用の材料を採用する
床仕上げ材は床暖房対応の材料を使わないと、完成後に反りや隙間などが発生する場合があります。多くの場合、強力な接着剤で張り付けてあるため、不具合が起こってから床仕上げ材だけを剥がすことは非常に難しい作業になります。
必ず床暖房に対応している床仕上げ材かどうかを確認して採用することが重要です。
必要に応じて下地の劣化チェックをする
床下地は通常目にする部分ではありませんが、湿気の多い環境など場合によっては劣化が早く進行することがあります。
重ね張りをする場合は下地の状態を確認できません。もし歩行時に床が沈んだり、著しい音鳴りがあったりする状態であれば、下地が劣化している可能性もあるため必要に応じてチェックしておきましょう。
床下に入ってチェックするか、あるいは専門業者に依頼することも効果的です。下地の劣化が著しい場合は、下地の補修や湿気対策なども必要になるでしょう。
あとから導入するなら電気式床暖房がおすすめ
床暖房の後付け工事は、家具やキッチン、敷居など周辺との取り合いも多く、また高さ調整も必要となります。床暖房の種類によっては、家具やキッチンなどを取り外し、さらに既存の床材を剥がさないと施工できないケースもあります。
特に温水式床暖房の場合温水パネルに厚みがあるので、新築時の導入なら良いですがリフォーム時は床を全面張り直さないと設置できないケースが多いです。
その場合の対策方法として、電気式床暖房を選択されるお客様も多いです。
近年人気となっている電気式床暖房は、フローリングの下に薄いフィルムを設置して床を温める仕組みとなっており、ドアなどと干渉しにくいのが特徴です。リフォーム時の床暖房として選択されるケースが弊社でも増えてきています。
よって、あとから設置するのでしたら電気式床暖房がおすすめです。
電気式床暖房もいろいろな種類がありますが、中でもおすすめしたいのが薄いフィルムを貼って施工するPTCフィルム式床暖房です。遠赤外線を使って温めるので、健康面にも配慮されています。弊社でも取り扱いがありますので、床暖房の設置を考えている方はご参考ください。