床暖房の上にラグやカーペットを敷くべきかお悩みではないでしょうか。
- ラグやカーペットを敷いたらもっと暖かくなるのでは?
- そもそも敷く必要性はあるのか?
- 敷くとしたらどんな素材のラグ・カーペットを導入すべきか
結論を言うと、床暖房の取り扱い説明書には、床暖房の運転中はラグやカーペットを敷かないよう注意喚起していることがほとんどです。一方で床暖房対応のラグやカーペットもありますが、非対応のものとどのような違いがあるのかご存知でしょうか。
そこで今回は、床暖房対応のラグの特徴から敷かない方がよい理由まで徹底解説。また、非対応ラグとの違いについて解説していきます。
床暖房の上にラグやカーペットを敷くべきではない理由
冒頭で、基本的には床暖房の上にラグやカーペットは必要ないと言いましたが、あくまでもメーカーの推奨事項です。中には床暖房に対応しているラグもあるのでそれであれば敷いても良いですが、やはりお勧めはできません。
なぜなら、床暖房を使用している時にラグやカーペットなどを敷くと、マイナスの影響を受ける可能性があるからです。その理由について、4つご紹介します。
床材を傷めやすい
ラグやカーペットなどは、敷いた上に人の体が接触することによって保温効果が期待できます。
これは、繊維の間に無数の空気層をつくることで熱の移動を抑制しているため、接触している人の体温を逃がさないよう維持できます。
そして熱移動が抑えられるということは、断熱効果が高い事になります。床暖房で放射される熱が敷物によって断熱されると、床面と敷物の間に熱がこもります。熱がこもると、フローリングは膨張して変形したり、熱で変色する事もあるのです。
また敷物の通気性が悪いと温度差によって結露を発生させ、床材と敷物の間に湿気がこもることがあります。湿気がこもると、カビやダニなどの発生につながり、長期間放置すると腐朽の原因にもなります。ラグやカーペットなどで断熱性を高めると、床暖房の熱まで遮断し、その結果として床材を傷めるというメカニズムです。
敷物を傷めることも
敷物の裏面にはパイルが抜け落ちることのないよう接着剤で固定していたり、あるいは滑り止めのゴムを貼り付けていたりするような製品が多くあります。これら接着剤やゴム部分は一般的に耐熱性に乏しく、床暖房の熱がこもることによって、溶けたり、剥離したりすることがあります。
そうなると、敷物は徐々に破損してくるなど傷みにつながります。
実は暖房効果を下げる
床暖房は、床仕上げ材の下層にある床暖房パネルで発熱し、輻射熱が空間を伝わって人や天井、壁などに到達することで熱エネルギーに変換されます。
この輻射による熱の伝え方こそが、床暖房のキモとなる部分です。
ところが床暖房の上にラグやカーペットを敷くと、覆われた部分は輻射熱を遮り、暖房効果を著しく損ねます。暖房効果を最大限発揮するには、床暖房面を覆うものをできるだけ少なくすることが重要です。
余計なコストを負担しなければならない
床暖房による暖房効果を低下させると、設定温度を上げたり、他の暖房機器を併用したりするなど、本来は必要のないムダなコストがかかります。つまり光熱費の負担が増えます。
また、床材を著しく傷めることがあると、張り替えによる対応が必要になるかもしれません。
この場合、フローリングはサネ構造になっていることから、部分的な張り替えが難しく規模が大きくなる可能性も。
さらに、床暖房とは強力な接着剤で張っていることが多く、床材を撤去する際に床暖房にまで被害が及ぶ可能性があります。そうなると工事規模はさらに大きくなり、コスト負担も膨れ上がるでしょう。
床暖房非対応のラグ・カーペットはどんな特徴が?
床暖房非対応のラグやカーペットのおもな特徴とは以下の通りです。
- 断熱材を貼り合わせている
- 厚みがあり保温性が高い
- パイルを接着剤で固定している
- 滑り止めを施している
以上が床暖房非対応のラグやカーペットのおもな特徴ですが、なかには使用することで体を暖める効果が期待できそうな内容もあります。しかし、これらの特徴は床暖房にとってはマイナス要素に働くことがあるため、床暖房面には敷くことはできません。
床暖房対応ラグ・カーペットの特徴とは?
通常、床暖房面にラグやカーペットを敷くことは、あらゆるマイナスの影響を受ける可能性があるとして使用は推奨されていません。
しかし、床暖房に対応したラグやカーペットもあります。床暖房対応のラグやカーペットのおもな特徴は次の2つです。
耐熱性がある
床暖房の運転中は、おおよそ30℃前後の温度が長時間加わります。それほど高温ではありませんが、耐熱性が低いと長時間続くことでラグやカーペットが変形したり破損したりすることがあります。
しかし床暖房対応の敷物は、熱に弱い材料などは使用せず耐熱性を高めることで破損を防止できます。
通気性がある
通気性を確保することで、熱や湿気のこもりを抑制できます。
ラグやカーペット裏面の接着剤や滑り止めなどは、耐熱性に乏しいだけでなく通気性を妨げる原因にもなっています。これら接着剤や滑り止めなどをできるだけ排除したり、厚みを薄くしたりすることで通気性を持たせることが可能です。
そして通気性が確保できていない場合、床暖房特有の輻射による暖房効果を十分に得ることができなくなります。輻射熱をできるだけ遮断しないようにするには、できる限り通気性を高めることが重要な要素になります。
まとめ
床暖房は輻射によって部屋全体を暖め、また同時に足元も伝道によって暖めるため、ラグやカーペットを敷かなくても快適な空間づくりができます。
とはいえ、クッション性があるほうが好みという人もいるかもしれません。その場合は、必ず床暖房対応のラグやカーペットを使用することが重要で、間違っても非対応のものを敷くことがないようにしましょう。